2023年7月20日、マレーシア自動車工業会(MAA)から『2023年上半期の自動車市場レビュー』が発表された。
http://www.maa.org.my/pdf/2023/Market_Review_1st_Half_2023.pdf
【新車販売台数】
2023年は経済成長の高さもあって、新車販売台数は前年同期比で10.3%増となる36万6,037台を記録。また、4月と6月以外の販売台数は、前年同月を上回った。
主な要因としては、
・自動車の販売サービス税(SST)減免措置期間中に購入した車両が2023年3月までの間に登録された。
・国民車メーカーの堅調な販売。
・国内経済成長率の高さ(2023年第1四半期の経済成長率はプラス5.6%)。
・競争力ある価格で魅力的な機能・デザインの新車種が多く投入されたこと。
・業界サプライチェーン環境の改善。
乗用車の新車販売台数は前年同期比で11.2%増となる32万6,661台、商用車は同3.6%増の3万9,376台であった。特に、国民車メーカーの寄与が大きく、前年度期比で19%増となる22万702台を販売した。対照的に、非国民車は同3%減となる10万5,959台となった。結果として、国民車メーカーの乗用車シェアは67.6%、対して非国民車メーカーは32.4%であった。
月別の新車販売台数では、2023年3月にSST減免措置期間中に販売された車両の納入期限だったこともあり、過去最高となる78,894台を記録した。また、2023年4月を除いて月間新車販売台数は5万台以上を維持することができた。
【車種別市場シェア】
乗用車市場における車種別別販売台数では、乗用車が全体の61%を占めて最大であるものの、前年同期の64%からは3ポイント減となっており、縮小が続いている。対してMPVについては、3ポイント増加して9%であった。4WD/SUVは前年同月から変動なく30%の市場シェアであるが、国内においてはSUVの割合が明らかに増えている。
【自動車メーカーシェア】
自動車メーカーシェアについては、2023年上半期もプロドゥアが首位を維持、市場シェアは39.5%であった。そして、国民車メーカー最大手のプロトンが前年同期比で3.5ポイント増となる20.8%を記録、堅調に市場シェアを拡大している。好調な国民車メーカー2社に対して、非国民車メーカー上位のトヨタとホンダ、三菱自動車は前年同期比でシェアが縮小している。特に、ホンダは前年同期比で2.8ポイント減と市場シェアを大きく落としている。
私自身、昨年にHR-Vを購入したが、装備などを見ると同じクラスでもプロトンの方が充実(HR-Vには自動駐車支援、360度カメラ、パノラミックサンルーフはないが、Proton X50は搭載)しているし、価格も大幅に安いので、どうしても厳しい競争を強いられることになると感じる。言い換えれば、プロトンが価格競争力だけでなく、装備や性能、品質においても非国民車とある程度競争できるだけの車両を投入することが可能になったことが大きいと言える。
【販売見通し】
今後の見通しについては、MAAは2023年通年で72万5,000台の販売を予測している。その後、2024年はSST減免措置の影響がなくなることから新車販売台数は70万台に落ち込むことが予想されており、2027年に2023年を上回ると73万3,600台の販売を見込んでいる。
【Perodua】
国民車メーカーのプロドゥアに関しては、2023年上半期の生産台数は前年同期比で16.8%増となる15万3,813台、販売台数は同13.6%増となる14万4,690台を記録した。特に、販売台数増に貢献したのはAセグメントクラスに属する4ドアセダンのBEZZAで、前年同期比で46.3%もの増加となる4万555台を記録、プロドゥア内でも28.0%のシェアを誇っている。また、売れ筋であった小型ハッチバック車のMyViは、同15.0%減となる3万2,319台であった。同社の販売はセダンと小型ハッチバックが主流であり、SUVモデルのATIVAやARUZは苦戦を強いられている。
【Proton】
国民車メーカーのプロトンに関しては、小型セダンのSagaが売れ筋となっており、同社販売総数の43.1%を占める3万3,325台を記録。また。販売台数上位2位~4位はSUVが占めており、最も売れているのがX50で1万2,580台、2023年3月にマイルドハイブリッド車として販売を開始したX90は6,116台、X70は4,032台となった。
私の友人数人も新車でX50を購入したが、確かに装備は充実しており、デザインも悪くなかった。ただ、エンジン音はうるさく、細かい部分で粗さが目立つし、何より納車後まもなく整備工場のお世話になったりしていたので、性能はまだ非国民車には及ばないのだろう。
【東南アジアにおける自動車販売台数】
また、2022年上半期における東南アジア域内での販売台数を見ると、マレーシアはインドネシアとタイに続く規模となっている。また、前年同期比でみると、マレーシアはフィリピンに増加を示しており、SST減免の影響もあって、域内においては好調を維持した。