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心理学でみる体験による
ユーザーフェーズの変化
ー同人編ー
みなさん
こんにちは
今日は
ユーザーフェーズを
語ろうと思います
ユーザーフェーズis何
使う機能や動線が異なる
サービスを
使い始めたばかり
のユーザー
と
有料機能含めて
使い倒している
ユーザー
なぜ異なる?
マインドセットが
異なるから
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マインドセットが変質し
使い方も変わる
これが
ユーザーフェーズ
の変化
みなさん
あてはまったら挙手
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マインドセットの変質
それでですね
今度 (※ 当時 )
同人にかかわる
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同人
同人
+
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正直
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同人に詳しくならねば
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si fueris Rōmae, Rōmānō vīvitō mōre;
si fueris alibī, vīvitō sicut ibi
ということで
同人始めました
コミケ
サークル参加で
(同人誌売る側)
1年間やって
完売もしたし
お店で委託販売も
だいたいわかった
同人業界
だいたいわかった
ということで
今回語るのは
同人作家の進化
同人作家の進化を
ユーザーフェーズの変化
の視点で語ります
その前に
お約束
今回語るのは
私の経験 + 私の聞いた体験 + 公開情報の考察
業務上知り得た秘密については語りません
同人用語は使いません(即売会、頒布、ほか)
最初の段階
描くのが楽しい段階
絵を描き始める
自分で描きたい絵が描ける、楽しい
pixivに絵を投稿する
反応(評価、閲覧数、ブクマ)がつく。楽しい
この時点で
pixivはファンと交流する
大切な場所
pixivへの投稿数は
この時期が最盛期
兼業作家でも年間50本程度(週に1枚)を
あげる場合も多い
絵を描く時間はそこまで多くない
最も主要な活動場所
pixiv
最も主要なターゲット
自分の絵を見てくれるファン
最も主要な動機
自分の絵を見てもらうこと
「お絵かき楽しす」
そのもの
ここでゲームチェンジ
pixivで同じクラスタに属する
絵を描く仲間が
同人誌を描いている
「楽しそう」
俺もちょっとやってみようかな?
ちょっとだけなら……
同人誌の何が楽しい?
格上の作家と同じリングに立てる
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目に見えるかたちでわかる
なにより
いい歳した大人が汗だくで
息を切らして「一部ください」
自分の本を渡すと
「ありがとうございます」
すべての苦労が報われる
心理学的に見て
同人誌を売ることは
pixivに投稿するより楽しい
人間は苦労した末に得た成果を高く評価しようとする
人間は長時間、強いインパクトを感じた成果を高く評価しようとする
販売量に影響する変数が知覚しやすく自分で操作しやすい
(こうすればもっと売れる!)
人はpixivへの絵の投稿より同人誌の販売に
心理学的に魅力を感じやすい
こうして作家は
同人誌作りにハマる
同人作家として
第1のフェーズ
同人誌を売ることが楽しい段階
販売部数:100部未満
基本赤字。
同人イベントで直接売る
活動範囲:自宅周辺の地方
本を作れば作るほど赤字
でも読んでくれる人はいる
pixiv:ローコストローリターン
手軽でライトな投稿先。
得られる承認欲求=小
同人誌:ハイコストハイリターン
大掛かりなイベント。赤字は結構痛い。
得られる承認欲求=大
まとめると
同人誌作るのも楽しいよね
第2のフェーズ
自分の頑張りが報われる
ことが楽しい段階
販売部数:300部
赤字回避。
同人イベントで直接売るほかに
同人ショップで委託販売する
活動範囲:自宅周辺の地方
たまに大型イベントへ深夜バスで遠征
ファンが増える
赤字という苦痛が減り
承認欲求の質と量が増える。
pixivを軽視し始め
同人誌に一気にのめり込み始める
名も売れ始め委託でも自分の作品を見たことのある人が増え始める
「ああ、君の本のこと知ってる」と同クラスタの作家さんに言われ始める
販売チャンネル
直接販売 委託販売
製作販売に必要なコストを
売上が上回る。黒字
製作を制約する変数が
自分の製作能力のみになる
趣味にかける時間が急速に減少する
pixivへの投稿数も急減する
作れば作るほど、多くの人に
自分の作品を見てもらえる
このあたりでどんどん
同人誌製作にのめり込む
pixivへの投稿数が
このあたりから減り始める
本の形にすればお金と名声が手に入る
その労働力をpixivにあげて
無料の絵として消費するのは不合理
製作時間確保のためにゲームなどの
他の趣味の時間が削られていく
まとめると
同人誌売るの楽しす
この時点で
最も主要な活動場所
同人イベント
最も主要なターゲット
自分の本を買ってくれるファン
最も主要な動機
自分の作品をより多くの人に知ってもらうこと
第3のフェーズ
自分の評価が伸びる
ことが楽しい段階
販売部数:500部
販売部数が順調に伸び続ける
活動範囲:全国すべて
売上から出る利益を原資に
全国の大型イベントに出続ける
自分の本の販売部数を
伸ばすことを重視する
より多くの人に自分の本を
読んでもらいたい
もっと多く売りたい
そのために
宣伝!
宣伝!
宣伝!
販売部数の拡大が
最優先!
販売部数の
拡大のしやすさ
販売部数の伸び
直接販売 委託販売
販売部数の伸び
直接販売 委託販売
小さい 大きい
委託販売を
重視する
pixivへの投稿はほぼ
自分の本の告知宣伝のみに
分類すると投稿のトップ3は
「この同人イベントに売る側として参加します」
「次の新作はこのような本です」
「次の新作のサンプルと販売先の告知です」
まれに隙間を縫うように趣味で描いた「無料の絵」が投稿される
この時点で
最も主要な活動場所
同人ショップ
最も主要なターゲット
自分の本を買ってくれる新規ファン
最も主要な動機
自分の作品の販売部数を伸ばすこと
まとめると
同人誌の部数伸ばすの楽しす
この段階で
もっと販売部数を
伸ばしたい!
俺(の作品)を見ろォ!
そう思っている作家の
マインドセットは
最初の頃の
「pixivはファンの方と交流する
大切な場です」
とは完全に変質している
この時点でpixivは新作あたり
3回程度の告知宣伝を行う
販促チャンネルにすぎない
マインドセットの変化
うまくやれば
Webサービスにも
使えるのでは?
無課金
🔽
廃課金
ライトユーザー
🔽
ヘビーユーザー
実は
心理学をもとにしたデザイン
プロダクトデザイン
という名前で最近ホット
でも
マインドセットの変質
ドメインへの
愛がないと見えない
だから考えていこう
俺たちの戦いはこれからだ
最後に自己紹介
あんただれ
レベル:
しょくぎょう:
しょうごう:
29
プログラマ
はいぱーれがしー
こーどくりえいた
@shin_semiya
ともうします
なにか質問が
あればこの後に
今日は最後まで
おつきあいいただき
ありがとうございます。
Thanks a lot !

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