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PlotArtSchool3「ドロッ舟」gMレポート.pdf
- 1. 野性のアートスクール galleryMain Report 2023 vol.1
- 2. 導 入 ス テ ー ト メ ン ト ポンきち、吉田晴彦 目まぐるしく変化するまわりの環境に、 自分の理解が追いつかない。 まるで風まかせ、 波まかせの舟旅をしているかのよう。 自作の舟は縦横無尽に僕らを向こうへ向こう へと連れ出してくれるのだ。こちらからあちらへ、 冒険から日常生活へ、 また冒険へ。 どこにいるのだろう。舟は進んでいるのか、留まっているのか、よもや後退してい るのか。現実がもたらした欲望の崩壊をノスタルジーではなく新たな幻想で補修し、 アイデンティティの延命を図る。それは舟をおりるのではなく、灯台を探すのでも なく、自分の乗っている舟のかたちを確認する作業なのです。 Access Plot Art School https://plot.photo/ 600-8059 京都市下京区麩屋町通五条上ル下鱗形町543-2F 京阪清水五条駅ー徒歩6分｜地下鉄五条駅ー徒歩８分｜阪急京 都河原町駅ー徒歩10分 ６ ０ ０ ８ ０ ５ ９ 本展は、 galleryMain が運営する 「Plot Art School」 の第 3 期 成果展です。 美大芸大といった機関ではない、野良のスクールで しかできない現代美術を実践しています。 楠山正雄 『カチカチ山』 1983 青空文庫より 四条通 五条通 KYOTO st. N Times Car rental SEVEN-ELEVEN 麩 屋 町 通 御 幸 町 通 寺 町 通 烏 丸 通 河 原 町 通 烏丸駅 河原町駅 五条駅 清水五条駅 おやおや、 たぬきさん、 もうやけどはなおったかい。 ああ、 お陰でたいぶよくなったよ。 なるほど、 海はおもしろそうだね。 いやもう、 山はこりごりだ。 それはいいな。 じゃあまたどこかへ出かけようか。 それなら山はよして、 こんどは海へ行こうじゃな いか、 海はおさかながとれるよ。 吉田晴彦、ポンきち 非売品 招待券 Invitation 目まぐるしく変化するまわりの環境に、自分の理 解が追いつかない。まるで風まかせ、波まかせの 舟旅をしているかのよう。自作の舟は縦横無尽に 僕らを向こうへ向こうへと連れ出してくれるのだ。 こちらからあちらへ、冒険から日常生活へ、また 冒険へ。 どこにいるのだろう。 舟は進んでいるのか、 留まっているのか、よもや後退しているのか。現 実がもたらした欲望の崩壊をノスタルジーではな く新たな幻想で補修し、アイデンティティの延命 を図る。それは舟をおりるのではなく、灯台を探 すのでもなく、自分の乗っている舟のかたちを確 認する作業なのです。 「ドロッ舟」入場チケット風フライヤー
- 7. 1997 年東京都練馬区生まれ。京都を拠点に活動。同志社大卒。2022 年 Plot Art School 第 2 期 成果展 幼い頃はいつも夕飯が待ち遠しかった。 ある日、下宿先に戻るとキッチンに洗われていない山積みのタッ パーが目についた。母が実家からご飯を詰めて持ってきた物だ。 早速洗い始めたのだが、その日のタッパーは僕に何か物騒な現実を 映し出した。 会社で怒られ、ずれを感じる。 片付けていないタッパーを見て仕事はおろか実生活まで整っていな い状況に気後れする。 幼い頃から食事というのはほっとひと息つけるものであり、食事と いうのはそういった装置であるはずだったのだが。 食器を清潔に保つ事を足場に、生活を立て直す試みである。 吉田 晴彦 PROFILE STATEMENT あ！やせいの タッパーが とびだしてきた！ 会 場 吉 田 晴 彦 ﹁ あ ！ や せ い の タ ッ パ ー が と び だ し て き た ！ ﹂
- 10. 実際に使用されているシンク。会場にあるフィクションのシンクと現実のシンクとで対比構造にある。 会 場 吉 田 晴 彦 ﹁ あ ！ や せ い の タ ッ パ ー が と び だ し て き た ！ ﹂
- 11. 終 わ り に PlotArtSchool の展覧会も今回で 3 回目を迎え る。スクールの原点は 2019 年 2 月 16 日に開催 した第 0 回 / プレ講義「世界の芸術写真にラディ カルな変革は可能か」に遡る。写真表現の既視 感や閉塞感に対して、新しい写真表現を模索す る研究所として立ち上がった。そのため写真家 向 け に「Plot Contemporary Photo Labratory」 と名乗っていた。コロナ禍を挟んで 2021 年に再 開し た第１期で は名前を「Plot Art School」に 変更した。写真を取り巻く根本的な環境を変え たいのに写真学校にしてしまっては、写真を目 的として人しか通わず、流動性が見込めないこ とから失敗は見えている。だからこそ写真も絵 画も 彫刻も メ デ ィ ア ア ー ト も 関係な く 通え る アートスクールが必要だった。というのが運営 視点での当初の目論見で、アートスクールを開 くに辺りアートについて運営も勉強・研究する し、飛び交う会話も写真はいちジャンルでしか 無くなる。 そんなこんなで気付けば 3 期目。出展者のポ ンきちはアート未経験、同じく未経験だった吉 田晴彦は Plot 第 2 期からの受講生で２度目の成 果展になる。このスクールではアート業界で流 行っているアートゲームには乗らず模倣をよし としない。そのために講師である山崎が国内国 外・ジャンル問わず読み漁った内容を講義では 扱う。自分の言葉で理論を語り、自分の作品を 通して表現するその当たり前を実践するスクー ルだ。本展の展覧会企画は受講生が方向性を決 めタイトルを付けステートメントを書き会場の レイアウト計画を行った。生徒自身が制作と運営 の両方を担うことで、ただ作品をつくるだけで はなく観客が作品に出会うその前後まで設計さ れている。 そうして作られた展覧会「ドロッ舟」は、アー ティストの 2 人がこれまでの人生を進行方向の 決まった舟に例え、経済に環境にと沈んでいく 泥舟に見立て、作品というフィクションを通し て舟に形を与え、このまま進むのか、ドロップ アウトするのか、観客に問いかけている。 本展のフライヤーもデザイナーとして、どの ような形でどのような言葉だと伝わるのか彼ら の提案を元に一緒に試行錯誤した結果、船の乗 船チケットをイメージしたデザインに固まった。 展覧会の導入に当たるステートメンの役割を、 言葉以外の部分まで少し拡張して体験設計から 練られている。キュレーションはキュレーター に委ねるのが一般的かもしれないが、今回は敢 えて踏み込んでいる。広い視野が求められるか らこそ、吉田晴彦の作品のようにギャラリーを 飛び出て会場の外にあるシンクを作品と接続し たり、ポンきちのように狸の昔話をフライヤー に忍ばせることが出来たのかもしれない。 少し無茶な 3 期のプログラムは長めの受講期 間と受講生が 2 人だからこそ出来たことでもあ る。PlotArtSchool は天才を待つのではなく、一 緒に悪巧みをしたり自立して既存のアート業界 を変えていく意思を持ったアーティストを送り 出す場所でもある。スクールを出た後も新しい 企画が動いてるらしい。どんな悪巧みが来るの か次は観客として楽しみにしている。 竹下 想｜合同会社 galleryMain 代表兼デザイナー アートと離れた場所にいた 2 人
- 12. Plot Art School「ドロッ舟」アーティスト｜ポンきち、吉田晴彦、主任講師｜山崎裕貴、会期｜2023 年 7 月 29 日 ( 土 ) 〜 8 月 6 日 ( 日 )、休館日｜月火水、開館時間｜13:00-19:00、会場｜galleryMain、住所｜〒600-8059 京都市下京区麩屋 町通五条上ル下鱗形町 543-2F、編集・発行｜合同会社 galleryMain 竹下想、主催｜Plot Art School（合同会社 galleryMain）発行｜2023 年 9 月 20 日 主任講師・展覧会監修｜山崎裕貴 「勧進レシート」2023 山崎裕貴 galleryMain 総会 2nd(2023) 出展作品 個人蔵