OSSでの楽譜浄書(Lilypondの紹介)

OSSでの楽譜浄書(Lilypondの紹介)
2022年3月
皆川哲朗

楽譜の浄書とは？
浄書とは楽譜をきれいに、演奏しやすく書くこと
浄書での検討しないと行けない内容
 スペーシング
 線の重なりの最小化
 影譜(伴奏や他の楽器演奏のタイミングと合わせて)
 譜めくり
などなど
今回はOSSでの楽譜浄書ソフトであるLilypondの紹介と、
Lilypondでの楽譜作成の第一ステップまで説明します。

自己紹介
 名前: 皆川哲朗
 住所: 大阪府
 趣味: オーケストラ参加経験あり(現在は演奏からは引退)
現在はロードバイク、プアオーディオ(T○PPINGとか使用)など
 仕事: システムインテグレータ(某化学・通信会社系)社員
 仕事内容
 システム稼働監視(Xymon)
 システム設計・構築・運用(業務システムのインフラ周り)

目次
1.なぜ楽譜浄書？
2.楽譜浄書ソフトの紹介
3.Lilypondについての紹介
4.Lilypondでの楽譜浄書

1.なぜ楽譜浄書？(クラシックオ－ケストラなど)
通常は以下の出版社からの販売譜・またはレンタル譜を使用
 ベーレンライター出版社(Bärenreiter-Verlag)
 ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社(Breitkopf & Härtel)
 リコルディ(Casa Ricordi)
 その他・・・
基本的に購入またはレンタル(お金で解決)

１. なぜ楽譜浄書？(既存楽譜がないオーケストラ)
既存の楽譜がない場合基本以下の手段で用意
1.演奏曲の選定
2.編曲前:著作権関係の調査・手続き(JASRACなど)
3.編曲(スコア(指揮者用譜面)作成)
4.パート譜作成
お金の他に会議や申請などいろいろ作業が必要

１. なぜ楽譜浄書？(弊害)
最低限の表記のみ、未調整の場合が多かった。
以下の弊害例が発生
 必要な表記がない(各パート譜面ではrit.、accel.など)
 影譜がない
(伴奏や他パートの動きを表記して演奏箇所を見失わないようにする工夫)
 突如入る譜めくり(演奏が止まる)
であれば.... 演奏し辛い

であれば・・・・
●自分で楽譜を浄書しよう。

2. 楽譜浄書ソフトの紹介

2.楽譜浄書ソフトの紹介(一般市販ソフト)
独自の視点(独断と偏見)で解説していきます。
 一般市販ソフト
 Finale
デファクトスタンダートとなっているソフト。
使用していた頃は楽譜ソフトなのにシンセ関係のアップデートが多かった覚えが
あり。
 Sibelius
Pro ToolsというDAWとの連携が強いため、商業音楽でよく利用
他にも様々な企業からリリースされている。

2.楽譜浄書ソフトの紹介(OSS)
独自の視点(独断と偏見)で解説していきます。
 OSS
 MusixTEX
TeXを拡張して作られた楽譜組版ソフト、できる事自体はかなり多いが….かなり
面倒
 Lilypond
MusixTEXから独立したソフト。
出版に耐えられる楽譜をある程度楽に組めるように日々拡張を続けている。
他にも様々な団体からリリースされている。

3.Lilypondの紹介
• 伝統的手法に従って楽譜を生成することを目指し開発
• LaTeXとMMLを組み合わせたような言語で記述/コンパイルし楽譜のPDFなどを生成
（MIDIファイルの生成も可）
 対応OS:マルチプラットフォーム(Windows, Mac OS, Linux, 各種BSDなど)
 ライセンス: GNU General Public License
 Webサイト https://https://lilypond.org/
→ Webサイトからの説明

4.Lilypondでの楽譜浄書(インストール方法)
公式サイトにてそれぞれダウンロードし、以下のようにする
 MacOS: ダウンロードしたディスクイメージにある
Lilypond.appをアプリケーションフォルダにコピー
 Windows: ダウンロードしたインストーラを実行
 Linux:以下のどちらかを実行
 ダウンロードしたスクリプトを実行
 各ディストリビューションのパッケージをインストール

4.Lilypondでの楽譜浄書(インストール方法2)
インストール後に以下のようにバージョン表記が出せるようになれば、OK
$ lilypond --version
GNU LilyPond 2.18.2
Copyright (c) 1996--2012 by
Han-Wen Nienhuys <hanwen@xs4all.nl>
Jan Nieuwenhuizen <janneke@gnu.org>
and others.
This program is free software. It is covered by the GNU General Public
License and you are welcome to change it and/or distribute copies of it
under certain conditions. Invoke as `lilypond --warranty' for more
information.

4.Lilypondでの楽譜浄書(楽譜作成方法1: ソースコード記入)
●テキストエディタなどで、以下のように作成(例: ファイル名sample.ly)
version "2.18.2"
header{
title = "Canon in D"
composer = "Johann Pachelbel(1653-1706)"
instrument = "Violoncello"
}
score{
relative{
clef "bass"
key d major
time 4/4
repeat unfold 28 { d a b fis |g d g a | }
d4 r4 r2 bar "|."
}
}

4.Lilypondでの楽譜浄書(楽譜作成方法2: コンパイル)
でコンパイル実施(Mac等では付属のエディタからコ
ンパイルすることが可能)。PDFファイルが生成
される。
以下の場合はソースコードの中で調整実施
$ lilypond sample.ly
 複数の譜面譜を同時に出力する場合
 レイアウトなどの調整等が入った場合

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